年功序列 2007 12 4

 ここ数年、給料の年功序列(年功序列型賃金)は、
まるで悪のように言われていますが、
これは、ある意味で、子育ての否定、または消費の悪化を意味します。
 どうしてか。
最近の政治家、官僚、学者は、
裕福な家庭に育った人たちが多くなったと思います。
そうすると、庶民の生活がわからなくなってしまうのです。
 経営者も、成功してしまうと、
すっかり庶民時代のことを忘れてしまうのです。
 前置きが長くなりました。
給料が全然、上がらず、一定のままの場合、どうなるか。
 子供は、幼少のうちは、あまり、お金がかからないでしょう。
たとえば、外食をしても、幼稚園ぐらいまでは、
親の食事を分け与えるぐらいで間に合うかもしれません。
それが、小学生になると、お子様ランチを食べるようになるでしょう。
小学校の高学年にもなると、それでは足りないので、
親と同じ量を食べるようになるでしょう。
中学生になると、さあ大変です。
親よりも、たくさん食べるようになります。
こうした子供の成長を見るのは、親の楽しみでしょうが、
親のサイフは、どんどん、さびしくなるでしょう。
 外出の際の電車賃も同じです。
幼稚園の時は、電車賃はかかりません。
小学生になると、大人の半額。
中学生になると、大人と同額。
 庶民の楽しみである旅行も同じです。
宿泊費は、幼稚園の時は、低額な施設利用料で済みますが、
小学生になると、大人の半額。
中学生になると、大人と同額。
 給料が全然、上がらず、一定のままの場合、
子供にかかる経費が、子供の成長と同時に、どんどん増えていきますので、
家計から、自由に使える「お金」は、どんどん減っていきます。
 これは、消費者にとって、心理的に、かなり不安に感じるでしょう。
収入が増えないのに、支出が増えていくのですから、当然です。
 裕福な家庭に育った政治家、官僚、学者からみれば、
「たかが外食や電車賃ぐらいで、大げさだ」と思うでしょうが、
庶民にとっては、「たかが外食や電車賃」が、切実な問題です。
 さて、どうなるか。
子供にかかる経費を削るよりも、まず先に、やることは、以下の通り。
スーパーでは、いつも特売の商品を買う。
(あるいは、いつも値下げセールを待つ。タイムセールなどを待つ)
洋服は買わない(買う時は、郊外の安売りの店で)。
家電製品は、特売合戦が始まったら買うか、
モデルチェンジ前の在庫処分の安売りを買う。
自動車は買い替えず、10年近く乗る。
いや乗りつぶすまで10年以上乗る。
 これでは、当然、消費低迷、
つまり、個人消費は、低空飛行のままでしょう。
 最近は、公立の学校教育に不安を覚える親が増えたでしょう。
そうすると、さらに消費を削って、塾代を捻出する。
 「どうして、個人消費は低迷しているか」
そう嘆いている政治家、官僚、学者、経営者。
それは、庶民の生活や消費行動を知らないからです。
 基本給の年功序列型賃金が難しいならば、
せめて、家族手当の年功序列をすべきでしょう。
 内需拡大。
これからの日本経済は、内需拡大をキーワードとしたい。
内需拡大型経済を国策とすべきでしょう。

浮世離れ

 住宅街を見て、「どうして家と家がくっついて建っているの?
そんなに仲がいいの? 仲がいいから家と家をくっつけて建てたのかな」
 お友達の家の中を見て、「どうして、そんなに狭い家に住むの?
そんなに狭い家に住むから、君は目が悪くなるんだ」

 庶民感覚からすれば、唖然とする話ですが、
金持ちの家に生まれ、裕福な環境で育った子供たちには、
こうした発想は、ごく自然な発想です。
 もちろん、これは金持ちを批判しているわけではありません。
金持ちが金持ちとして生活している分には全く問題ないでしょう。
 問題なのは、こうした子供たちが大人になって、
政治家や官僚、学者になったら、どうなるか。
 ごく自然に「浮世離れした政策」を作ることになるのです。
これが、今、日本にある重大な問題点です。

















































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